回虫症
イヌ回虫・ネコ回虫は数年前に公園の砂場への汚染で話題になりました。イヌやネコから排泄される虫卵を経口的に摂取する事と、ニワトリやウシの肝臓または生肉を摂取する事により感染します。
かつては小児が多いとされていましたが、近年、高年齢層への発症例が増えているそうです。
孵化した幼虫は体内移行をし、様々な症状を引き起こします。また、まれに眼球に移行し、失明することもあります。
公園の砂場はのら猫や放し飼いの犬などがトイレがわりにしている事があり、砂遊びをした幼児が手を充分に洗わずに食事などをする事により、虫卵を摂取します。
界面活性剤によって虫卵は落ちやすくなりますので、外から帰った時や、動物をさわった後は石鹸でよく手を洗いましょう。また、子犬や子猫を飼ったらすぐに検便をし、必要に応じて駆虫しましょう。また、ニワトリやウシなどを生で食べる事はさけましょう。
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白癬
動物から人にうつる白癬はイヌ小胞子菌が原因です。感染した動物(ヒトも含む)との接触により感染します。
女性や小児に感染が多く、動物を抱いた時に接触する場所(顔、腕、胸など)に病変がよくでます。
かゆみを伴う発疹などの症状がでますが、うかつに市販の塗り薬を使うと、悪化させる可能性もありますので注意が必要です。動物を飼っていらっしゃる方が皮膚症状が出たら、早めに皮膚科を受診して下さい。
問題なのは、猫などは菌を保有している(キャリアー)にもかかわらず無症状(不顕性感染といいます)な事がある、という事です。外見上健康に見える為、発見できず、飼い主の発症によってやっと分かった、というケースもあります。感染動物や感染者との接触に注意し、発生した場合は、室内をよく清掃・消毒しましょう。イヌ小胞子菌は条件が良ければ13〜52ヶ月もの間生存しますので、その間は換気や清掃を心掛けるようにしましょう。
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トキソプラズマ症
トキソプラズマ原虫という病原体が原因です。ネコが固有宿主ですが、ネズミ等げっ歯類も強い感受性を持ち、ブタ、ヒトがこれに次ぎます。
感染してる動物の生肉(もしくは、加熱不十分な肉)、汚染された手指、食器を介して経口的に感染します。また、ネコの糞便中に存在するオーシスト(トキソプラズマの変体の一つで、感染能力をもつもの)を吸引して感染します。
通常は不顕性感染ですが、妊娠中に感染すると、胎児に影響し、流産を引き起こしたり、また、生まれても水頭症など、脳に障害が起こる事がほとんどです。
妊娠の予定があり、ネコを飼育なさっている方は、トキソプラズマの抗体検査(血液等をとって、病原体に対する防御機能が備わっているか調べる検査)を、御自身とネコについて行って下さい。御自身に抗体が備わっていれば、よっぽどのストレスがかからなければまず心配はありません。ネコに抗体が備わっている場合は、検便も行いましょう。病原体の排泄期が終わっていれば、心配ありませんが、ストレスやネコエイズ、ネコ白血病にかかるとまた発症する事もありますので、ネコの健康には注意しましょう。
もし御自身に抗体がなければ注意が必要です。肉類は必ずよく火を通して調理しましょう。また、肉を調理したまな板や包丁を充分に洗わずに、次の物を調理すると、次の食材が汚染されますので、肉を調理した後はよく道具や手を洗ってから次の調理にとりかかりましょう。また、確実ではありませんが、比較的冷凍にも弱いので、冷凍肉をつかったり、SPF豚(特定疾病清浄肉)を使うといいでしょう。
ネコの糞便中のオーシストは、排泄されてから1〜5日経たないと感染能力は持ちません。(排泄されてすぐはチゴートという形で、これには感染能力はありません)飼育しているネコの排泄物は、なるべくなら手袋をつけ、すぐに片づけるようにし、その後、手をよく洗います。庭などの土いじりや草むしりをする時は、ゴム手袋を装着します。また、生水はもちろん、飲まないようにしましょう。ネコが出入りしてそうな水路や水源の水も煮沸して下さい。
飼育しているネコが抗体を持っていなかった場合は、感染させないように注意しましょう。外に出すと感染する機会が増えますので、室内飼育を徹底します。食事もドライフードや缶詰めを用い、生肉や加熱不十分な食事は与えないようにします。(缶詰めは生のように見えても、缶詰めごと煮沸する事が義務付けられているので安全といえます)また、鳥やねずみの捕食によって感染しますので、ネコの飼育場所には入ってこないように注意しましょう。
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カンピロバクター腸炎
Campylobacter jejuni、Campylobacter coliが原因で、食中毒を引き起こしますが、動物からも感染します。
動物、食品、食器、手指、水などを介して経口感染します。動物の腸管内に分布し、これらの糞便で汚染された肉や水を介して感染し、食中毒を引き起こします。動物は発症しない事がほとんどなので、注意が必要です。下痢をしている時に糞便の中に確認できる事があります。
食品からの感染だけではなく、飼育動物からの感染が考えられるケースもあります。そこで、動物とは必要以上の接触はしない方が無難です。
糞便はすぐに始末し、糞便で汚れた箇所はよく洗浄しましょう。口移しで食べ物を与えたり、食事を共にするのも避けましょう。もちろん、動物と遊んだ後はよく手を洗いましょう。
また、動物に関しても、動物のトイレとなっている場所には近付けないようにし、他の動物とのなめあいも避けましょう。飼い主が他の動物をさわった時も、よく手を洗ってから自分の飼っている動物にさわりましょう。
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ねこひっかき病
Bartonella.hennselaeやAfipia felisなどが原因菌とされ、ネコに引っ掻かれたり、舐められる、咬まれるなどにより感染します。また、ネコの蚤からの感染が考えられる症例もあります。
受傷の数日から2週間後に受傷部位にやや隆起した赤紫色の丘疹が現れますが、化膿してひどくなる場合も、赤くなるだけで終わる事もあります。リンパ節が腫れるのはほぼ全例に認められ、痛みを伴う事が特徴です。小児における発症が多いのですが、エイズ感染や免疫抑制剤の使用で重症になる傾向があります。リンパ節の腫大は他の病気との鑑別が必要になるので、ネコを飼っていたり接触が思い当たる時は早めに申告しましょう。また、一度かかると強い免疫ができますので、再びかかることはありません。
また、ネコはキャリアーであっても不顕性です。
ネコは温和な性格のネコを選び、咬ませたり舐めさせたりする事はさけましょう。爪も切っておき、傷つけられないよう注意します。また、ノミからの感染も考えられますので、ノミの駆除をしっかり行いましょう。
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パスツレラ症
イヌやネコの口内などにあるPasteurella multocidaが原因菌で、咬傷や掻傷などの外傷、キスなどの濃厚接触による直接感染と、間接的な飛沫感染があります。口内保有率はネコで100%近く、イヌで14〜55%とされています。ネコの前足の爪で約25%です。
全体の約60%は呼吸器症状で軽症から重症までさまざまです。
咬傷や掻傷感染症は約30%を占めます。受傷の約30分から1、2日後に激しい痛みや赤みが出たり、腫れてきたりします。酷くなると傷の部分が化膿します。発熱はあまりなく、リンパ節が腫れる事もありません。
自分自身の健康に気をつけ、動物に触れたら手洗いとうがいをするといいでしょう。また、付き合いにはけじめをつけ、寝室に入れる事、一緒に寝る事、口移しやキスはさけましょう。ネコの爪は常に短くし、温厚な性格に育てましょう。また、殺菌型の空気清浄機を使用するといいでしょう。
ネコやイヌに咬まれたり引っ掻かれたりした場合は、流水に1分ほどさらしてよく洗い、消毒をしましょう。痛みが強かったり腫れてきた時は早めに受診して下さい。
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